小学生の子を持つ親として、我が子の成長が何よりの楽しみですよね。しかし、子育ては楽しいことばかりではありません。反抗期の子は特に、親の言うことを聞かないもの。遊んでいる様子ばかりが目について、「勉強しなさい」「宿題はやったの?」と、ついつい小言を投げてしまうのが親の常です。
そこで今回は、小学生の子供が勉強しない原因を心理学などの観点からお話します。具体例な原因や対処法を解説しますので、「子供が勉強しない……」とお悩みの方はぜひ、最後まで読み進めてください。
目次
子供が勉強をしない3つ原因
近年、心理学の観点から小学生の知的好奇心を引き出す教材・授業が注目されています。子供は知的好奇心旺盛で、新たに得た知識や経験にワクワクするもの。しかし、学校の勉強になると、途端に話が変わるようです。何らかのきっかけで学習意欲がなくなり、「勉強嫌い」になる子供は少なくありません。
過去を振り返ると、私たち親世代も例外ではなかったはずです。そもそも、子供が勉強嫌いになる原因は何なのでしょうか?
原因1.勉強に苦手意識がある/そもそも勉強が嫌い
ささいなきっかけで、勉強に苦手意識を持つ子供は少なくありません。学校ではたくさんのクラスメイトと授業を受けますが、その中での出来事が、子供に苦手意識を植えつける可能性があります。考えられるケースは次の通りです。
●授業中、先生に指名されたが答えられず恥ずかしい思いをした
●誤った解答をクラスメイトにバカにされた
●クラスメイトとの成績を友達に比べられた
●親に「勉強しなさい」と何度も言われた
先生やクラスメイトなど、第三者の影響を受けるケースが大半。ただし、親の「勉強しなさい」は別問題です。小学生のお子さまを持つママ・パパなら、一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。
親の「勉強しなさい」は逆効果です。勉強の苦手意識を克服してもらいたい、少しでも勉強を好きになって欲しいならば、別のアプローチを検討してみましょう。
原因2.勉強の必要性を感じていない
私たちは物心ついたときから学校に通い、さまざまな教科を学んでいます。親世代も含め、「勉強=当たり前」という認識は、誰もが持っているでしょう。しかし、「自分は何のために勉強しているのだろう?」「勉強より遊んでいる方が楽しい」と感じる子供がいるのも確かです。
学歴社会の日本において、勉強がいかに大切なのかを私たち大人は知っています。ですが、それを小学生の子供にわかりやすく教えるのは、容易ではありません。「みんながやっているから」「当たり前のことだから」と乱暴な教え方はNG。子供でもわかるよう丁寧に、将来を踏まえて勉強の必要性を説くのが、ママ・パパの役割です。
原因3.自宅の学習環境が悪い
意外に見落としがちなのが、子供の学習環境の質です。たとえば、近年は「リビング学習」が注目されており、あえて子供部屋ではなく、リビングで勉強させている家庭が少なくありません。ただし、リビング学習にはメリット・デメリットがあります。
リビング学習のメリットは、物音による集中力の向上です。人は適度に物音を聞いている方が、勉強の能率が上がるとされています。このほか、親子のコミュニケーション頻度が上がる、子供の勉強している様子を見守ることができる、といったメリットがあります。
反対に、親子の距離感が近くなり過ぎたり、テレビなどの騒音が気になったりするデメリットもあります。リビング学習は有効ですが、子供の学習を阻害しないよう、周囲の配慮が必要でしょう。なお、これは子供部屋・学習部屋を与えている家庭も同様です。「うちの子は集中力が続かなくて……」と感じたら、学習環境の見直しを検討してみましょう。
“親ストレス”で勉強嫌いになるケースとは
ママ・パパの言動により、子供が学習意欲を無くしている可能性があります。ここでは、“親ストレス”により勉強嫌いになるケースをいくつかご紹介します。
親が勉強を強制している
勉強を強制されて喜ぶ子供はいません。たとえば、我が子に次のような言葉をかけた経験はありませんか?
●勉強しなさい
●ちゃんと宿題はやったの?
●○○くん(ちゃん)はできるのに
●勉強しないなんて、ダメな子ね
「○○をしなさい」という親の命令的・指示的な言葉は、子供の反発心を煽ります。「今からやろうと思っていたのに」「何度も言われてうんざり……」と思った結果、自由が脅かされると本能的に感じ、親の指示とは反対の行動を取るのです。これを心理学でいう“心理的リアクタンス”といい、「勉強しなさい」という言葉は、子供にストレスを与えるだけなのです。
それ以上に、第三者と比べて優劣をつける言葉、人間性を否定する言葉は絶対にNGです。勉強嫌いを通り超して、子供の自尊心を傷つける可能性があります。
子供は大人が思っている以上に繊細で、ママ・パパのメッセージを敏感に察知します。たとえ冗談のつもりでも、親として伝えて良いこと、悪いことの分別はつけましょう。
過去の勉強嫌いエピソードを話している
学生時代の笑い話として、自身の勉強嫌いエピソードを話すママ・パパは少なくありません。見方によっては、勉強嫌いの子供の気持ちに寄り添う、共感しているとも取れます。しかし、親の思い出話によって「勉強しなくても何とかなる」と思い込み、さらに勉強嫌いが進む可能性があります。
スマホをいじりながら勉強につき合う
片手間にスマホをいじりながら、子供の勉強を見ている……そんな経験はありませんか?子供が教科書とにらめっこしているかたわら、親が違うことをしていては、かっこうがつきません。何より、子供の勉強意欲をそいでしまうでしょう。子供の勉強を見るときは、ともに学習する気持ちで臨むことが大切です。
子供の勉強嫌いを克服!ママ・パパにできる対処法は?
ここでは、子供の勉強嫌いを克服するためにママ・パパができる対処法をご紹介します。
「怒る」と「叱る」の違いを再認識する
“心理的リアクタンス”にかかわる内容として、「怒る」と「叱る」の違いを再認識してみましょう。
「怒る」は、自分の感情を発散するための行為、とも捉えられます。反対に「叱る」とは、相手への思いやりをこめた注意のこと。子供の将来を案じて「勉強しなさい」「ちゃんと宿題はやったの?」と叱るのは、親として誤った行動ではないのです。
問題なのは子供自身が、自分が怒られているのか、叱られているのかを判断できないことです。裏を返すと、親が上手な叱り方さえマスターすれば、この問題は解決します。
子供を上手に叱るポイントは、次の通りです。
●ダメと判断したらすぐに叱る
●シンプルに短い言葉で叱る
●子供の目を見て低い声で叱る
●本題以外の話はしない
●絶対に人格を否定しない
子供を叱る場合、感情的になってはいけません。冷静に間違いを指摘し、どうすれば良いのかを短く、シンプルに伝えます。万が一、感情的に怒ってしまった場合は、大人が素直に謝りましょう。
良いところを褒めて、認めて、伸ばす
子供には「親に褒められたい」という欲求があり、それを満たすことでモチベーション維持に繋がります。勉強はもちろんのこと、日常会話において「良い」「えらい」「すごい」と感じたところを認め、具体例な言葉とともに褒めてあげましょう。ママ・パパが“褒め上手”になることで、子供の勉強嫌いを克服できる可能性があります。そして、子供は「また頑張ってやってみよう!」と自発的に行動できるようになるのです。
テストで良い点数が取れた時、ご褒美をつくるのも良いかもしれません。
子供の勉強をサポートする
勉強が嫌いなのではなく、「勉強の習慣がない」「何から手をつければ良いのかわからない」という子供がいます。この場合、ママ・パパが勉強の仕方や学習計画の立て方を教えるだけで、解決する可能性が高いです。
ただし、子供との距離感には注意しましょう。命令的・指示的な言葉は使わず、「○○すればもっと良くなるよ」と優しくアドバイスするのがコツです。あくまでも勉強は、子供自身が1人で取り組むもの。親のサポートで自信がついてきたら、自発的に勉強するようになるでしょう。
適切な学習環境の構築
勉強に集中できる学習環境は、子供一人ひとり異なります。リビング学習を好む子がいれば、自分の部屋で集中したい子もいるわけです。どちらにしても、子供が集中的に学習できる環境を用意してあげましょう。
たとえば、お片付けが苦手な子供は大抵、勉強机もゴチャゴチャしがちです。定期的に掃除したりさせたりして、机の上を整理整頓しましょう。また、勉強机に学習の妨げとなるものは置かないようにします。机の棚部分には、学習書や問題集、プリントなどを収納するのが基本です。
反対に漫画やゲーム機、習い事の道具などは、子供の好きなもの・興味のあるものです。視界に入るだけで集中が途切れる恐れがあります。そのため、これらのアイテムは勉強机の背面側に棚などを設置・収納するのがおすすめです。適切な学習環境を用いし、「勉強するとき」「遊ぶとき」のメリハリをつけさせましょう。
まとめ
「うちの子は全然勉強しない……」と悩むママ・パパは少なくありません。そのため、「勉強しなさい」と口を酸っぱくする親御さんもいますが、実際は逆効果です。自発的に勉強机へと向かわせるには、子供の自己肯定感を高めるよう、接し方を工夫する必要があります。子供の勉強について悩んでいる方は、今一度我が子の気持ちに寄り添えているか、振り返ることをおすすめします。